「人生はボーナスステージ」

 

昨日の夜、三才の息子が眠った後。

妻と二人で話しながら、「死ぬまでにやりたいことリスト」を作りました。

 

なんて書くと、まるで僕か妻かの余命があまり残されていないかのような印象を与えてしまうかもしれませんが、そういう事ではないです。

いや、そりゃ人間いつかは死ぬ事は明白ですし、それはもしかしたら本当に今日とか明日とかの可能性も当然あるんですがまあそれは置いといて。

最近、というか思い返すとここ数年くらいずっと、世界や人生の素晴らしさのようなものを感じていないんです。

閉塞的で退廃的な気持ちがずっと胸中を支配していました。

ちゃんとした仕事と、マイホームと、温かい家庭……外面の境遇はこの上なく幸福なくせに。

内面が、スカスカのスポンジみたいに死んでいるように感じるんです。

内側の僕が視る、世界や人生や未来が、まったく輝いていないんです。

 

僕には、「これが僕だ」と胸を張って言える、確固たる自分が、無いように感じます。

たぶん大抵の人が、幼少期から学生時代に色んな人とのやり取りや経験を通じて育て上げていくのであろう、自分自身のキャラクターや信念、心の軸と言えるようなもの――これを世間はアイデンティティと呼ぶんでしょうか。

僕には、僕の中のそれが、あまりありません。

僕の心の底には、人間不信が横たわっています。ああいや、そんな深刻なものではないんですが。……ないと思うんですが。

人と相対しても、普通に会話も出来ますし、楽しく笑い合うこともできます。

でもそれは、外面の僕です。僕が作り上げて演じている、僕ではない僕です。

僕は、演劇部でしたから(笑

至って普通に他者と交流しながら、外面の鎧の中の、内面の僕は、怯えています。

つまらない奴と思われてしまわないか。

僕の不用意な発言で、相手に不快を与えてしまわないか。傷つけてしまわないか。

それによって嫌われてしまわないか。

そういった恐怖が、常に心の中に影のように張り付いています。

分かっています。自分が傷つくのが怖いんですね。

だから踏み込めないし、踏み込まれるのを恐れる。

踏み込んで、あるいは踏み込まれて、嫌われたら、もう関係は修復できないと思っているから、それが怖い。

本当はそんな事はなくて、人と人は歩み寄れるし、分かりあえるはずだというのも、頭では分かっているんですが、それに伴う摩擦や衝突が、面倒くさいし、やっぱり怖い。

 

そうやって、あまり人と関わらないように壁を作って生きてきました。

人と関わっても、弱く臆病な自分をひた隠して外面だけで接してきました。

学生時代からの友達もいるんですが、そういう人たちに対しても、どう接すればいいのか分からず、いつからか心を開けなくなっていました。

そんな僕を好いてくれる人と付き合って、やがて結婚して夫になって、子供ができて父親になって、頑張ろうと思いました。

そうしてステレオタイプな幸福を手に入れて、暫しの外面の充足感を味わった僕は、次第に内面の虚無との落差に蝕まれていきます。

妻にとっての良き夫、子にとっての良き父でいても、それは僕の作り出した鎧であり、演技であり、本当の自分ではない気がしてならない。

傷つけないように傷つかないように、人の顔色を窺って本音を出せずに、自分の本音が何なのか、自分が何なのかも分からなくなる。

幸せなのは外面の僕だけで、内面の本当の僕は、空っぽの生き物は、トラウマを負った誰も信じていない孤独な子供のままなんじゃないだろうか。

僕の存在とは、人生とは、一体何なのだろうか。

何のために生きているのだろうか。

 

客観視すると中二病的なそんな絶望と懊悩が、訳の分からない寂しさになって、他者の中に自分の存在意義を暴力的に求めて、

結果一番望んでいないはずの「相手を傷つける」という事にもつながり、余計にどん底まで沈んだりもしました。

(それでも外面は平静を装うんですが)

 

たぶん、姿勢の悪さからくる自律神経失調症とか、軽い鬱状態とか、そういうものもあると思います。

かなり追いつめられて、というか自分で自分を追い込んで、

さすがに、「このままではダメだ」と思う所まで行き着きました。

そこで沈み切らずに、上を向こうと思えたのは、やはり妻と子の存在のおかげかと。

そんな家族の為にも、「変わろう」と、昨日、ようやくようやく思えたんですね。

(上のような事を書いていると、僕が妻に対して愛情を持っていないと誤解されるかもしれませんが、そんなことはなく、本気で好きだった時もあるし、今も大切だし愛しています)

 

妻と話しました。

自分がとても落ち込んでいる事を、僕を慕って僕の幸福を望んでくれている妻に話すのは、少し勇気が要りました。

僕は、妻であるこの女性を幸せにすることが自分の人生の責務と捉えていたし、

そしてその心情の吐露は自分の苦手な、内面の発露だからです。

そしたら、途中の経緯は省きますが、この言葉が出てきたんですね。

 

「人生はボーナスステージ」

 

要約すると、「自分が生まれてきたのは奇跡の連続の果ての結果で、ほとんどの可能性の中では存在しないこの人生という時間を自分が得られたのは、それはもうボーナスステージだよ」、という事。

自分はこんな性格でありながら「人生は楽しまないともったいない」という思想も同時に持ち合わせていましたが、

そこからさらに一段階突き抜けたようなそのポジティブな言葉に、僕は感銘を受けて、笑いました。

そして今これを書きながら涙ぐみました。

一見楽観的なその言葉の裏には、自分を産んでくれた両親への深い感謝と愛情も感じたからです。

 

僕の内面の空虚は、閉ざしてきた自分の世界の狭さから来ていると思う。

自分への自信のなさも、他者への不信も、全て自分の経験値の低さから起こるものだと思う。

だから、経験しよう。行動しよう。世界を広げよう。

 

この人生はボーナスステージだから、楽しまないともったいない。どうせならボーナスポイントをたくさん取ってやろうぜ。

そういうわけで、過去ではなくて未来を見据えてこのボーナスステージを楽しむために、使っていないノートを引っ張り出してきて「死ぬまでにやりたいことリスト」を書き始めました。

沖縄に行きたいとか、タヒチに行きたいとか、そういう大きめのものもあるんですが、

「目の前で揚げてくれる天ぷら屋に行きたい」とか、その気になればすぐに叶えられそうな小さな願望も、

ノートに書き出して貯めていくことで、それだけで自分の未来が少し輝いて見えるような気がしました。

今まであまり心を開けなかった知人と友達になるために、さっそく彼の趣味だという釣りに誘いもしました。

ノートはまだ3ページくらいしか書いてないですが、今後やりたい事は全部書いていこうと思います。

そして実現できたものは印をつけていって、人生の終盤に、妻とそれを眺めて微笑もうと思っています。

 

みなさんにも、「死ぬまでにやりたいことリスト」、お勧めします。結婚している人は、奥さんとの会話のネタにもなると思います。

せっかくだから、楽しみましょう。

その人生は、あなたに与えられたボーナスステージですよ。

 

あわせて読みたい

16件のフィードバック

  1. マサ より:

    お久しぶりです!
    年末に近づくとなぜか忙しくなってきますよね…

    閉塞的で退廃的な気持ちがずっと胸中を支配していました。
    ちゃんとした仕事と、マイホームと、温かい家庭……外面の境遇はこの上なく幸福なくせに。

    仕事や家庭のかたちは違いますが、まったく同じことを思っていました。
    考えさせてくれる内容をありがとうございます。
    今日妻と話してみようかな「死ぬまでにやりたいことリスト」
    あ、リストに「マサという人と仲良くなる」を入れておいてください 笑

    • digisan より:

      マサさん、お久しぶりです!
      僕の業界はシーズンによる忙しさとかはなく、最近はかなりヒマです。
      忙しいのはイヤですが、ヒマなのもそれはそれで辛いんですよね…

      マサさんも心がお疲れだったようですね…
      最近思うのは、「言葉にして話す」ってのがすごく大事なんだな、ということです。
      ずっと心の重りになっている事でも、信頼できる人に話すだけで軽くなったり、別の視点を得て意外とどうでもいい事だったなって気づいたりするし、それによる会話が単純に楽しかったりしますね。
      ぜひ、奥さんと「やりたいことリスト」作ってみてください。
      パソコンのメモ帳とかじゃなく、まっさらなノートに手書きで書いていくのがお勧めです!

      昨日さっそく書かせていただきましたよ、「マサさんと友達になる」!
      マサさん、友達になってください!
      境遇も近いようなので、家族ぐるみで仲良く遊べたらいいなーと結構ホンキで思っています。

      • マサ より:

        今の時期が少しヒマになるんですね!
        確かに忙しいことが幸せと親に昔からよく言われますが、仕事を頼まれ、任されることも大切なことですよね、ヒマでも忙しくても辛いけど…笑

        えぇー、ありがとうございます!
        ぜひぜひお願いしたいです(^^)
        自分もガンダムだけじゃなく、プロフィールを読んで拝見させていただくようになりました。
        LINEでもメールでも大丈夫です! 友達になりましょー!…っというのも改まっていて何か変ですが、仲良くしていただけたら幸いですm(__)m

        • digisan より:

          マサさんこんにちは!
          僕の業種は、時期でヒマになるって事がないんですね。
          シーズン関係なく所属しているプロジェクトが燃えているかどうかで繁閑がガラっと変わります。
          忙しいのはホントに嫌なので、ヒマな方がありがたいかなー。

          こちらこそありがとうございます!
          LINE登録したいんですが、僕はキャリアケータイじゃないので、ID検索ができないんですね。
          よろしければ、digisanpo@gmail.com 宛に招待メールを送って頂くか、QRコードのキャプチャでも送って頂けたら、そこから登録させて頂きます!

  2. かめかめ より:

    こんばんは!
    「死ぬまでにやりたいことリスト」はいいことだと思います(^^)
    でも、兄が亡くなって思ったことは、死んだらいくら自分が大切にしていたものでも、家族が片付けるのに困るだろうとか、色々分かるように整理、記録しておかないとと痛感しました。
    本人は分かるようにしてたつもりなんでしょうが、更新や切替をしているのに古い手続き資料を保管したままにしてるとか、まぎらわしいのがあったりして大変です。
    ちょっと愚痴っぽくなってしまいすみません。

    とりあえず、色々考えてしまいますが、一日一日を無事に過ごせるように気を付けて行こうと思います。結局、今までと変わりませんけど(^^;

    • digisan より:

      かめかめさんおはようございます!
      そうですよねぇ、「自分の死」っていつかは必ず訪れるのについ目をそらしがち、というかあまり考えないですが、つねに覚悟して考えておかなきゃいけないことですよね。
      自分のためというよりは、残される大切な人たちのために。
      色々と大変だとは思いますが、お兄様の思い出を振り返りながら、ゆっくりとお別れを楽しんでください。
      無責任なこと言っちゃってたらすみません…

      僕はかめかめさんとも友達になりたいと思っています!

  3. としぽん より:

    こんばんは
    「人生はボーナスステージ」素敵な考え方ですね。
    うちの両親は去年離婚したんですけど、母親の方は好きに生きれるようになって生き生きしている気がします。2ndステージとういかボーナスステージ。

    残念ながら自分にはデジサンの奥さんみたいな素晴らしい伴侶もいませんし、今後出来る予定もありませんが一緒に住んでくれる妹がいます。

    誰か一人でも自分にとっての救いや支えになってくれる人がいるのはとても幸せなことなんだと思います。
    もちろん人に限らず、ペット(うちの母親の場合は猫)だったり趣味だったり(ガンダムとかガンダムとかガンダム)
    たまにそのガンダムで買うかどうか深く悩んだりしますが、その過程も含めて楽しんでます。

    とりあえず自分の『死ぬまでにやりたいことリスト』は東京のお台場でユニコーン見てガンダムフロントに行くことです。

    • digisan より:

      としぽんさん、おはようございます!
      そちらのブログで苗字が変わったとあったので気になっていたのですが、そういう背景だったのですね…
      せっかくの人生楽しまないとと思うし、みんなが幸せになればいいと思うのに、この世界はなかなかそううまくいってくれない事も多いですよね…
      お母さまはボーナスステージを謳歌されているようでよかったです^^

      「誰か一人でも自分にとっての救いや支えになってくれる人がいるのはとても幸せなことなんだと思います」
      本当にそうですね。
      あ、これ使ってみようかな 「それな!」
      幸せってマヒしがちですが、忘れずにそういう存在を大切にしていかないとですね。

      僕は明確に夢中になれる趣味と言えるようなものがなくて、それが心を荒ませる要因の一つだとも思うんですが、これからは自分を幸せにするために色んな事を経験していきたいな、と思っています。

      いいですね、お台場ユニコーン!
      一緒に行きましょうよ!
      僕はとしぽんさんとも友達になりたいと思っています!

  4. シューさん より:

    こんにちは

    自分も、「あの友人に嫌われてないかなぁ」
    とか、「あのこうした方がよかったかな」とかネガティブに
    考えちゃう癖があるんですよね……

    でも、デジさんの「人生はボーナスステージ」って考えで自分、結構ポジティブになれる気がします!

    • digisan より:

      シューさんさんおはようございます。お返事遅れてすみません!
      そうですよねー、大人になっても人間関係って難しいなーってつくづく思います。
      僕もネガティブ方向の人間なので、ついつい後悔したり遠慮したりばっかりです…

      「人生はボーナスステージ」、自分で書いておいてなんですが、まだ心の底からこう思えてはいないです。
      ふと浮かび上がったポジティブも、日々の責務やストレスですり減っていってしまいますね。
      でも、きっかけは得られたので、変われたらな、と思います。

      • シューさん より:

        今頃ですが、

        デジさんの言っていた目の前で揚げてもらえる
        美味しい、天ぷら屋知ってます!!

        一緒に行きましょうよ!

        • digisan より:

          シューさんさん、おはようございます。
          まじすかー!誘っていただけるのですか!
          世界を広げたい、友達を増やしたいと最近切に思っているので、行きたいですね!
          僕は千葉・東京が行動圏ですが、シューさんさんもその辺ということなんですかね?

          • シューさん より:

            あ、、、
            福岡とかになっちゃいます、
            自分、夏に九州行くんですけどその時に行ってる所なんですよね…

            ガッカリさせてしまったら、すいません……

  5. シューさん より:

    ほんとに、ごめんなさいm(_ _)m

    • digisan より:

      おー九州ですかー、遠いですねー(笑
      実はやりたい事リストに「ハウステンボスに行く」というのもありまして、それを実現できる時が来たら、ついでにご案内してもらおうかな、と思います!
      その時は宜しくお願いしますね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。